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ソフレ募集

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「最近までサンタクロースを信じていた」
ベッドの中で添い寝している和倉さんが独り言のように話しかけてきた。
「クリスマスの朝に目が覚めると枕元にプレゼントが置いてあるのね。今年もサンタさんが来てくれたーってね」
夢のある話である。しかし、アラサーの和倉さんが「最近まで」サンタクロースを信じていたのが本当だとすれば、ただのあぶないねーちゃんだ。
和倉さんは20代の内にコスメの代理店を起業して成功を収めている辣腕経営者である。同時にバツイチでもあり、独り身になって寂しい夜を過ごすためにソフレ募集していたのことだった。僕は彼女の素性も知らずに申し込んでたまたま条件に合致してカップリングと相成った。待ち合わせにバッチリメイクしたすごい美女が来たのでビビったものだ。
「メイク落としたらただのおばちゃんですよ」と和倉さんは自嘲気味に言っていたが、すっぴんもまた良かれだった。まあ、メイク落としとスキンケアにやたら時間がかかってなかなか添い寝まで辿り着けなかったが。
僕自身はセックスしたい人間ではある。ただ、それを希望していない女性を無理やりハメるなんて度胸はない。和倉さんが「ソフレで」と希望しているならば、彼女が望まない限り、僕がそれ以上のことをすることはない草食人間だ。でも、一緒にベッドに入って腕を絡ませて眠るだけで僕は平穏と満足を得ることができた。
「クリスマスの日に旦那さんだった人がプレゼントを置いてくれていただけだって気づいたんだよね」
和倉さんはそんなことを言っていた。最近でも何でも気づくのが遅いし、まあその辺はファンタジックを演出した自身のキャラづくりなのだろう。メイクして素顔を隠すように本当の自分を彼女は「サンタを信じている」と言うキャラで隠しているような気はする。
僕は和倉さんの話に付き合って、なぜ「サンタはいない」と言う真実に辿り着いたのか聞いてみた。
「そのクリスマスの日にもプレゼントが置いてあってね。明けてみたら離婚届が入っていたの。旦那さんとはそれっきりだったなあ」
残酷な現実である。クリスマスの日まで和倉さんとソフレ関係が続いているのならば、婚姻届を置いておこうかなと思いながら、彼女の小さな体を強く抱きしめた。
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